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ワイン業界に衝撃
- 2019.02.08
重大な事件
我々、ワイン業界に携わる者として
ショッキングな事件がありました。
ソムリエバッジがネットオークションで売られていて、
偽物も出回っているという事が判明したのです。
価格にして6000円から23万3000円!の物もあるようです。
バッジの裏のナンバリングを削り取っているそうで
かなり悪質です。
23万も払うならワインスクールに通って
受験料払うのと同じくらいだなと思うのですが、、、。
なぜこんな事が起こってしまうのか?というと
ソムリエ資格の取得は難関であるためだと思います。
ソムリエ試験の受験資格
ソムリエ試験に受けるのに大きなハードルになるのは
ワインを提供する飲食店での3年の実務経験です。
(ソムリエ協会に入会すれば2年でOK)
ただこれをズルする人がいて
ある店のオーナーに勤務していたと嘘の証明を
書いてもらって受験する人がいます。
明らかに飲食店経験がない人が有資格者だったり
少ししか飲食店経験がないのに受験してたり
私も何人か知っています。
ただ、最近はかなり厳しいようで
抜き打ちで調査して不正を防止しているようです。
試験の難易度
受験資格が得られたら試験を受けるわけなんですが
おそらく様々な資格がある中でかなりの難易度を
誇る試験だと思います。
覚えることが膨大で、世界中のワインの勉強を
しなくてはならないからです。
しかも二次試験はブラインドテイスティングがあります。
何種類ものワインの「品種」「生産国」「アルコール度数」
「味わいのコメント」をしなければなりません。
さらに三次試験は実技があって、
ワインの抜栓からデキャンタージュ、提供まで
試験官をお客様に見立てて行います。
2018年の合格率は28.5%と狭き門となっています。
私も2008年に取得しました。
当時は娘が産まれたばかりで大変でした。
朝5時から勉強して7時から家事を手伝い、
通勤電車内と店の休憩時間で勉強。
ワインスクールにも通いました。
当時、恥ずかしながら生活に余裕がなかったので
絶対に1回で合格しなければ!と背水の陣で臨みました。
合格した時は本当に嬉しかったですね。
ソムリエの実務
晴れて合格できたのですが、
実際の業務で何か役に立ったかというと
ほとんど役には立ちませんでした。
何故なら試験はワインの歴史や細かい法律、
通り一遍のサービスなどが問われて
実践で使えるような知識ではなかったからです。
実際のソムリエの仕事はワインの管理や
お客様への提案が主なので
個々のワインの特徴などを
インプットしておかなければなりません。
試験では具体的な銘柄を聞かれる事がないので
コツコツと自分で飲んで覚えていくしかありませんでした。
ソムリエの本当の実力
なのでソムリエ資格を持っているからといって
的確なワインを選べるというわけではないのです。
実際、ソムリエバッジを付けているのに
ダメダメなサービスをしている方は多数見かけます。
ワインの抜栓すらまともにできない人も、、、。
ソムリエ資格とは調理師免許のようなもので
持っているから料理が美味しく
作れるわけではないのと同じです。
有資格者でさえそんな感じなのに
お金でバッジを買おうという人間が
まともなサービスを出来るわけがないのです。
バッジには意味がないと思っているので
私はバッジは付けていません。
合格した直後1か月だけ嬉しくて付けていましたが(苦笑)
資格を取るか否か
ここまで読んだ方は
「じゃあ資格は取らなくて良いんじゃない?」
と思うかもしれません。
わたしはそれでも「取った方が良い」と思っています。
当店はイタリアンレストランなので
イタリアワインしか置いていません。
そのような環境にいると
イタリアワインしかわからないという人間が
育つ危険があります。
ソムリエ試験に臨むにあたって様々な国のワインを
飲んで勉強することになります。
そうすることによって世界の中での
イタリアワインの立ち位置を理解出来たり、
お客様の様々な要望に応えられるようになります。
「ボルドーワインのような赤ワインが飲みたい」
「シャンパーニュが欲しいんだけど」
などの要望もイタリアワインで近い物を探して
ご提案できるようになります。
当店でも「ブルゴーニュっぽい物をください。」
というオーダーはよく頂戴いたします。
それをイタリアワインで表現してお客様に
ご満足いただけると本当に嬉しいです。
あと世間的には「すごいね!」と言われる資格です。
当レガーメを開店するに当たり融資を受ける際、
融資担当者に「料理人でソムリエなんてすごいですね!」
と言われて、とてもスムーズに融資が決まりました。
見た目でだまされないでください
あと就職で有利になると思っている人もいるようです。
確かにそのような一面もありますが、
私はあまり関係ないのでは?と思っています。
中には要有資格者を募集条件にしている店も見かけますが
あまり賢いとは言い難いです。
所詮、名刺のようなもので
実際の業務が優れている証明ではないからです。
あなたも「バッジを付けている人が言っているから大丈夫」
と思わずに本物のサービスをしてくれる店選びを
していただきたいと願っています。